テンソルの客観性の有無

久田俊明著「非線形有限要素法のためのテンソル解析の基礎」141頁の例題【5.5】です
2つの基準枠 O*, O は時刻t0で一致し,O は時刻tで O* に対し Q(t) だけ回転しています
両基準枠から,運動するある物質点の変形勾配 F*, F を観測した場合
F* = Q.F
となることから,各テンソルの客観性の有無を調べよ,というものです

ch5-2_5-5.wxm

U : 右ストレッチテンソル
R : 剛体回転
%i1は*付きの変数名を使うための宣言です
%o2では両辺に右からdot積を作用させる関数pbsを定義します(画面出力は省略)
仮定を%o3式に示します
両辺のF*とFをそれぞれ右極分解します(%o4)
極分解の唯一性より(%o5)
%o5式を%o4式に代入します(%o6)
両辺のUを掃います(%o7)



V : 左ストレッチテンソル
%o3式両辺のF*とFをそれぞれ左極分解します(%o8)
Qが直交テンソルであることに留意して上式のRを書き換えます(%o9)
上式のR*を%o7式を使って書き換えます(%o10)
両辺の Q.R を掃います(%o11)



C : 右Cauchy-Green変形テンソル
U*の定義より%o12式を示します
上式のU*を%o5式を使って書き換えます(%o13)
Uの定義より%o14式を得ます



E : Green-Lagrange歪テンソル
E*の定義より(%o15)
上式のI*を書き換えます(%o16)
Qが直交テンソルであることより%o17式となります
Eの定義より%o18式を得ます



B : 左Cauchy-Green変形テンソル
B*の定義より(%o19)
上式のV*を%o11式を使って書き換えます(%o20)
Qが直交テンソルであることより%o21式となります
Bの定義より%o22式を得ます



A : Almansi歪テンソル
A*の定義より(%o23)
上式のI*を書き換えます(%o24)
右辺のinvertを分配します(%o25)
Qが直交テンソルであることより%o26式となります
右辺をまとめると%o27式となります
Aの定義より%o28式を得ます


ということで,V, B, A に客観性があることがわかります


非線形有限要素法のためのテンソル解析の基礎

非線形有限要素法のためのテンソル解析の基礎