変分法 その1

今回は変分法(Calculus of variations)のお話です
変分法とは何か?という難しい話にはあまり触れず,具体的な計算事例を紹介したいと思います


【最短距離問題】
平面上の区間A-Bを結ぶ曲線で,距離が最短となるのはどんな曲線か?という有名な問題です
(答えはもちろん”直線”ですが,これを変分法で計算します)
shortest length.wxm

y : 曲線
y' : dy/dx
ds : 線素(line element)の長さ
L : 曲線の距離
%o2にてyとy'がxに依存することを宣言します(画面出力は省略)
曲線yの線素dsの長さを%o3式に示します
被積分関数Fの定義を%o4式に示します
形式的に書きますが,曲線の距離LはFの作用(区間A-Bの積分)として%o5式で与えられます
ここでLは関数y(x)の汎関数(functional)といい,L[y(x)]と表現します
このLを最小化する(Lの第一変分δL = 0 を満足する)yを求める問題ということになります



Fの作用を最小化する問題なので,オイラーラグランジュ方程式が使えます(%o6)
運動方程式とラグランジアンで散々使った例のアレです)
被積分関数Fを%o6式に代入して偏微分を計算した結果を%o8式に示します(%c1は積分定数
y'について解いた結果を%o9式に示します
右辺を見るとconst.なので,右辺全体を%c1と書き直し,ついでにy'も書き直した結果%o10式を得ます
ものすっごい簡単な1階の常微分方程式なんですが,一応ode2関数を使って解いた結果を%o11式に示します(%cも積分定数



得られた曲線(?)が積分定数%c1および%cを含んでいるので境界条件を与えて解きます
いま2点の座標をそれぞれA[0, 0],B[a, b]としてyがこれを通るとすると%o13式を得ます
上の結果よりyは%o14式となり,AとBを結ぶ直線となることが解ります


追記
光が光学的距離を最短とする経路を通ることを特に"フェルマーの原理"(Fermat's principle)と呼びます