前回に続き,今回は空気抵抗(drag)を考慮した落体の運動を考えます
ここで空気抵抗は速度依存型とし,抵抗の大きさを示す定数を a とします
falling body3.wxm
x, v : 位置ベクトルと速度ベクトル
g, m, a : 重力加速度,物体の質量および抵抗係数
%o3で,x と v が時間 t に依存することを宣言します(画面出力は省略)
%o4で,a と b(後述します) が正値であることを宣言します(画面出力は省略)
運動エネルギーT,エネルギー散逸率D(単位はJ/s),ポテンシャルエネルギーUをそれぞれ%o5〜7式に示します
ラグランジアンLを%o8式に示します
抵抗による散逸の項を含んだオイラー・ラグランジュ方程式を%o9式に示します( = 0(零ベクトル)は省略)
上式にLを代入した結果を%o10式に示します
vをdx/dtで書き直したものを%o11式に示します
ということで,空気抵抗を考慮した落体の運動方程式が得られます
運動方程式は2階の常微分方程式(ordinary differential equation)になっています
ode2関数を使って%o11式の成分1をx1について解いた結果を%o12式に示します
上式は2つの積分定数%k1, %k2を含んでいます
ここで b = a/m として抵抗係数を書き換え,初期条件を与えて解き直した結果を%o13式に示します
同様に,%o11式の成分2をx2について解きます(%o14, %o15)
g = 9.8[m/s2], v0 = 40[m/s], b = 0.1[1/s]を代入します(%i16〜%i18)
投射角をπ/5, π/4, π/3[rad]としたときの軌道をそれぞれ青線,赤線,紫線として%t21にプロットします(t = 0〜7[s])
見た目解り辛いんですが,青線(π/5[rad])が若干飛距離が長いです
追記
その1と同様に,物体が着地した時の飛距離を最大とする条件を考えてみます
falling body3a.wxm
位置ベクトルxを%o1式に示します
tについてテイラー展開した結果をxとします(%o2)
x2 = 0 の方程式を t について解いた結果を%o3式に示します
これをx1に代入して求めた飛距離は%o4式となります
空気抵抗が重力加速度より十分小さい仮定よりbの2次の項を消します(%o5)
飛距離の停留条件をrについて解いた結果を%o6式に示します
この方程式のbを0とすると空気抵抗のない落体の運動 その1の停留条件に一致します(%o7)
%o6式より,飛距離最大とするためには π/4[rad](45度)より若干低い角度(v0およびbに依存)で投げることとなります
これは野球の遠投やゴルフ等で経験的に言われますねヽ( ´ー`)ノ