巡回群
以前群論について群 その1や群 その2で簡単に触れましたが,今回は巡回群(cyclic group)について触れてみたいとおもいます
方程式 x^n = 1 の解を複素平面上にプロットすると正n角形が作図されます
(これは正17角形の作図可能性で扱ったのと全く同じ内容です)
cyclic group.wxm
いま n に5を代入します(%o1)(画面出力は省略)
%o2式に示す5次方程式の解を考えます
上式をxについて解いた結果を%o3式に示します
これらの解(1の複素5乗根)を複素平面上にプロットした結果を%t7に示します
解の一つを適当に選んでgとします(%o8)
このgを元の方程式の解集合Gに順次掛けていきます(G0→G1→G2→G3→G4)
ここでgは複素平面における回転変換に相当し,G5 = G0 となり巡回することが判ります
解集合Gの1番目の解(g = %e^(2*%i*%pi/5))について考えます(%t11)
複素平面上の1に対してgを1回掛けた結果は原点まわりに2*%pi/5[rad]回転した赤点となります
これに順次gを掛けていくと青線を辿って巡回していき,5回目で元の1に戻ります
5乗すると1になるのはgが方程式x^5 = 1の解なので当然ですね
余談ですが,この"5"をgの位数(order)と呼びます
同様にして,
2番目の解(g = %e^(4*%i*%pi/5))は4*%pi/5[rad]の回転(%t12)
3番目の解(g = %e^-(4*%i*%pi/5))は-4*%pi/5[rad]の回転(%t13)
4番目の解(g = %e^-(2*%i*%pi/5))は-2*%pi/5[rad]の回転(%t14)
5番目の解(g = 1)は0(= 2*%pi)[rad]の回転(%t15)を,それぞれ表します
ということで,1の複素5乗根が乗法に関して巡回群を成すことを示しました
追記
複素平面におけるこのような巡回群はU(1)と呼ばれます
通常の実平面における同様の巡回群はSO(2)と呼ばれます
SO(2)とU(1)は同型(isomorphism)です