梁理論 その1

今回は梁理論(beam theory)のお話です
今までは割と何の説明もなく梁理論を使ってきましたが,ある程度説明に使える材料が揃ってきた感じなのでここで簡単に触れておきます
beam theory1.wxm

x : 現時刻における物質点の位置ベクトル
X : ある基準時刻における物質点の位置ベクトル
u : ある基準時刻から現時刻までの変位ベクトル( u = x - X )
まずは対象となる梁の変形は微小であると仮定します
微小歪テンソルELの成分表示を%o1式に示します(画面出力は省略)
これをマトリックス表示したものを%o2式に示します(ヤコビ行列とヤコビアン その3を参照ください)



添字1を梁の軸方向,2, 3を断面方向として,3軸周りに曲げられる梁の断面を考えます
平面保持の仮定より%o3式を与えます
断面形状保持の仮定より%o4式を与えます
%o3, o4式を用いてせん断歪成分(ここではEL[1,2])が零となる仮定より%o5式を得ます
上式をa(X1)について解いた結果を%o6式に示します
これを%o3式へ代入してまとめると,直交保持が成り立つことが判ります(%o7)
これらの諸仮定を,"単純曲げ梁理論"或いは"Bernoulli-Eulerの梁理論"(Bernoulli-Euler beam theory)と呼びます



%o4および%o7式を用いてELを書き直します(%o8)
基準時刻における位置ベクトルを明示するためX[i]で書かれていますが,微小変形が成り立つのでx[i](特に軸方向の位置を示すX1は添字無し)とします(画面出力は省略)
これを歪ベクトルeに並べ替えたものを%o10式に示します(フォークト表記)
せん断歪成分はすべて0なのであまり意味はありませんが,一応せん断歪成分は工学的せん断歪とします(´-`).。oO


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E, ν : ヤング率,ポアソン
線形等方性弾性体の弾性マトリックスDを%o13式に示します(弾性マトリックスを参照ください)



U : 任意断面における歪エネルギー
I : 断面2次モーメント
変形に関する仮定から,ν = 0 としてDを書き換えます(%o14)
弾性論より断面の1点における歪エネルギーは%o15式で与えられます
d2y/dx2 を n として書き換えます(%o16)
形式的に書きますが,上式を任意の断面について積分します(%o17)
Eは断面内で一定とし,断面2次モーメントの定義から上式は%o18式となります


ということで,U を梁の全長にわたって積分すれば梁全体の歪エネルギーとなります
(梁の長さ方向について E, I が一定であれば,結局∫n^2 dx を計算するだけの問題となります)


"運動方程式とラグランジアン その4"の%o4式や"運動方程式とハミルトニアン その4"の%o5式で使用していますヽ( ´ー`)ノ


追記
%i16式右辺で使っている '(シングルクォート)及び ''(クォートクォート)は評価を抑制/部分修正するための演算子です
' が二重積分計算を抑制し,抑制されたuの評価(代入)を '' で例外的に処理します(%o16)