格子梁

今回は格子梁(grid beam)のお話です
下図に示す様な,均等分布荷重を受ける格子状に組まれた梁を解いてみます


支持条件は四辺の節点を単純支持とし,対称条件を用いて1/4モデルを計算対象とします
簡単のため,部材長さと断面は各方向でそれぞれ統一します
単純曲げ変形を考えます(せん断剛性,ねじり剛性は無視します)
E,I は全要素共通とし,要素内で一定とします

grid beam.wxm

E, I, L : ヤング率,断面2次モーメント,要素長さ
v, θ : X方向部材の節点変位と回転角
V, Θ : Y方向部材の節点変位と回転角
P, M : 節点荷重と曲げモーメント
"globalsolve:true"は方程式の解を代入させるオプションです
梁の曲げ要素剛性マトリックスを返す関数keを%o2式で定義します(梁要素の要素剛性マトリックスを参照ください)
X方向/Y方向要素の要素節点変位ベクトルを返す関数u1/u2をそれぞれ定義します(画面出力は省略)
要素節点荷重ベクトルを返す関数fを定義します(画面出力は省略)
X方向/Y方向要素の節点変位ベクトルを返す関数U1/U2をそれぞれ定義します(画面出力は省略)
節点荷重ベクトルを返す関数Fを定義します(画面出力は省略)
二つの梁要素を繋いでできる全体剛性マトリックスを返す関数Kを定義します(画面出力は省略)



w : 面外に作用する均等分布荷重
I1, I2 : x方向およびy方向部材の断面2次モーメント
L1, L2 : x方向およびy方向部材長さ
節点2, 3, 5, 6に作用する節点外力P1〜P4を%o10〜13で代入します


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まずは要素[1]と要素[2]で作る梁[1-2-3]の変位を求めます
各要素の節点荷重ベクトルf1, f2をke.u1で代入します(%o14,15)
この梁の節点変位ベクトルU1を%o16で,節点荷重ベクトルF1を%o17で定義します
剛性マトリックスK1を%o18に示します
力学的境界条件および幾何学境界条件を%o19〜24で代入します(画面出力は省略)
未知の節点変位ベクトルUaを%o26式に示します
釣合い方程式F1 = K1.U1をUaについて解いた結果を%o28に示します


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同様にして,要素[3]と要素[4]で作る梁[4-5-6]の変位を求めます


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同様にして,要素[5]と要素[6]で作る梁[2-5-7]の変位を求めます


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同様にして,要素[7]と要素[8]で作る梁[3-6-8]の変位を求めます


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交点の分配率ベクトルRを定義します(%o76)
交点における鉛直変位の適合条件(v = V)をRについて解いた結果を%o77式に示します
r1〜r4がすべて求まりましたので,各交点の変位を再評価します(%o78〜81)


ということで,すべての節点変位と節点力が求まりました


追記
面外荷重を受ける平板を計算する場合,フツーは面外変形を考慮できる平板要素を使用するんですが
"格子梁"は平板や架構を等価な梁の連成問題(coupled problem)として簡便に扱えます
また架構や梁で防撓される平板といった構造物は非常に多いため,大変合理的なモデル化と言えます
今回の格子梁モデルは4つの梁の連成問題であり,1つの梁も2要素で計算するのでかなりテキトーな解き方をしていますが
実際のモデルはもう少し複雑になるかと思われますので,よりシステマティックな組み方をお勧めします('A`)