梁理論 その2

前回の"Bernoulli-Eulerの梁理論"では,"せん断変形をしない"という強い制約を前提としました
今回はこの制約を少し緩めて,一次のせん断変形を許容する場合の梁理論を考えます
beam theory2.wxm

微小歪テンソルELについては前回と同様のため説明を割愛します



a : 断面の回転角
添字1を梁の軸方向,2, 3を断面方向として,3軸周りに曲げられる梁の断面を考えます
平面保持の仮定より%o3式を与えます(前回の%o7式を踏まえて"-"を付けています)
断面形状保持の仮定より%o4および%o5式を与えます
%o3〜%o5式を用いてELを書き換えます(%o6)
中立軸に対する断面の直交性は保たれていないことが解ります
これらの諸仮定を,"ティモシェンコ梁理論"(Timoshenko's beam theory)と呼びます



例によって微小変形が成り立つので,X[i]をx[i](特に軸方向の位置を示すX1は添字無し)とします(%o7)
ここでせん断歪成分は工学的せん断歪とし,歪ベクトルeに並べ替えたものを%o8式に示します(フォークト表記)
また a(x) が dy/dx に等しければ,"Bernoulli-Eulerの梁理論"に一致することが解ります


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E, ν : ヤング率,ポアソン
線形等方性弾性体の弾性マトリックスDについても前回と同様のため説明を割愛します(%o11)



横弾性係数GはEとνを用いて%o12式で表されます(フックの法則の%o23式を参照ください)
このGとν^2 = 0 の条件を用いて書き換えた D を%o14式に示します
弾性論より,断面の1点における歪エネルギーu は%o15式で与えられます



U1 : 任意断面の曲げ変形による歪エネルギー
I : 断面2次モーメント
断面の1点における曲げ変形による歪エネルギーは%o15式第2項より%o16式で与えられます(da/dx を n で書き換えます)
形式的に書きますが,上式を任意の断面について積分します(%o17)
Eは断面内で一定とし,断面2次モーメントの定義から U1 は%o18式となります



U2 : 任意断面のせん断変形による歪エネルギー
A : 断面積
κ : せん断補正係数(梁理論 その6参照)
断面の1点におけるせん断変形による歪エネルギーは%o15式第1項より%o19式で与えられます(dy/dx - a(x) を r で書き換えます)
形式的に書きますが,上式を任意の断面について積分します(%o20)
Gは断面内で一定とし,断面積の定義から U2 は%o21式となります



U : 任意断面の歪エネルギー
U = U1 + U2より%o22式を得ます


ということで,U を梁の全長にわたって積分すれば梁全体の歪エネルギーとなります
(梁の長さ方向について E, G, I, A,κ が一定であれば,結局∫n^2 dx, ∫r^2 dx を計算するだけの問題となります)