節点自由度の縮約 その2

前回の節点自由度の縮約を使って”半剛接接合部を有する梁要素”の導出について説明したいと思います

上図のように梁の両端に半剛接回転バネ(@で表示)が二つ接続した構造を考えます

  • バネ要素①の曲げ剛性をKa,要素長さを0とします
  • バネ要素③の曲げ剛性をKb,要素長さを0とします
  • 梁要素②のヤング率をE,断面2次モーメントをI,要素長さをLとします
  • 梁要素内で材料・形状ともに一定とします

節点1および4の自由度は鉛直方向変位vと回転角θの2つ
内節点2および3の鉛直方向は拘束されているので回転角θのみとなり,全自由度は 2 x 2 + 2 x 1 = 6 となります

condensation2.wxm
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節点変位ベクトルを返す関数を%o1式で定義します
バネ要素節点変位ベクトルを返す関数を%o2式で定義します
要素①〜③の要素剛性マトリックスを%o4〜6式にそれぞれ示します



要素①〜③の要素節点力ベクトルを%o7, 9, 10式にそれぞれ示します



全体節点変位ベクトルUを%o11式に示します



節点力を全て重ね合わせてUで係数を括りだしたものが全体剛性マトリックスKとなります(%o12)
これが縮約していない通常の(全自由度 6 x 6 の)全体剛性マトリックスです


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Uc : 縮約する節点変位ベクトル(%o14)
節点2と3の自由度の縮約を行います
まずはK.Uを計算します(%o13)
節点2と3に対応する自由度は3番目と4番目の成分です
節点2と3には外力が作用しないとして釣合い方程式を立て,Ucについて解いた結果が%o15式となります


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%o15式の解を用いてK.Uを計算し直したものが%o16式です
3番目と4番目の成分がちゃんと 0 になっていることがわかります
また1,2,5,6番目の成分から縮約した変位成分θ2およびθ3が消えていることがわかります
Uから縮約される変位成分を除いた,節点1&4の節点変位ベクトルU14を%o17式に示します


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残った節点力をU14で係数を括りだしたものが縮約された半剛接梁の要素剛性マトリックスKsとなります(%o18)
(全自由度は 6 - 2 = 4 となり,4 x 4 のマトリックスとなります)


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式の簡単化のためにバネ要素の曲げ剛性を半剛接パラメータλ( = 0〜1 )を用いた%o21, 22式でそれぞれ定義します
半剛接パラメータλa, λbを用いてKsを書き直した結果を%o23式に示します



Ksに対してλa = 1, λb = 1 と仮定すると,両端剛接とした通常の要素剛性マトリックスと一致します(%o24)
Ksに対してλa = 1/2, λb = 1/2とすると,中間的な回転剛性を持つ要素剛性マトリックスを表現します(%o25)
Ksに対してλa = 0, λb = 0とすると,両端ピン接合としたトラス要素の剛性マトリックスと一致します(%o26)


追記
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縮約された節点2および3の回転量を知りたい場合は別途計算する必要があります
%o15式の解をU14で係数を括りだしたものをNマトリックスとして%o27式に示します
半剛接パラメータλa,λbを用いて書き換えたものが%o28式となります
これより相対回転角θ' = θ14 - θ23 = θ14 - N.U14 で計算出来ます
ここで,θ14 = [θ1,θ4],θ23 = [θ2,θ3]