単純せん断変形の歪速度と積分 その1

歪速度について既に触れましたが,じゃこれ積分したら歪になるの?というのが今回のお話です
久田俊明著「非線形有限要素法のためのテンソル解析の基礎」105頁の例題【3.26】です
内容は,以下に示すDを含んだ3種類の積分を単純せん断変形について計算せよ,というものです

  • R(t).∫(R(t')^T.D(t').R(t'))dt'.R(t)^T = R(t).E[R](t).R(t)^T
  • R~(t).∫(R~(t')^T.D(t').R~(t'))dt'.R~(t)^T = R~(t).E[S](t).R~(t)^T
  • F(t)^-T.∫(F(t')^T.D(t').F(t'))dt'.F(t)^-1 = F(t)^-T.E(t).F(t)^-1 = A(t)

まずは一行目から
ここで出てくるE[R]は非回転歪(rotationless deformation)と呼ばれるものです

ch3-2_3-26-1.wxm

F : (t0→tの)変形勾配テンソル
R : (t0→tの)剛体回転
Ft' : t0→t'の変形勾配テンソル
Rt' : t0→t'の剛体回転
u, β : tにおける変位と変形角[rad]
u', β' : t'における変位と変形角[rad]
%i1は'付きの変数名を使うための宣言です
%i2はβ'が時刻tに依存するという宣言です(これを宣言しておかないとdβ'/dt = 0となります(´・ω・`))
単純せん断変形におけるF, R, Ft', Rt'をそれぞれ%o3, %o4, %o6, %o7式に示します


Lt' : t0→t'の速度勾配テンソル
Dt' : t0→t'の変形速度テンソル
Er[R] : t'における非回転歪速度(被積分関数
定義より,計算したLt'およびDt'をそれぞれ%o8, %o9式に示します
与式より,計算したEr[R]を%o10式に示します


E[R] : tにおける非回転歪
%i11の"triginverses : all$"は三角関数とその逆関数との合成の簡易化を制御するための宣言です
βの正負を聞いてきますので正値(p)を返します
積分計算した結果を%o13式に示します

http://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/r/ryooji_f/20110503/20110503205903.png
E[R]をRを用いて変換した結果を%o14式に示します



1行1列の成分が2行2列の負値と一致することを%o17式に示します
横軸にβ,縦軸に%o14式の1行1列および1行2列の成分をそれぞれ%t18にプロットします


非線形有限要素法のためのテンソル解析の基礎

非線形有限要素法のためのテンソル解析の基礎