Misesの降伏条件とMises応力

ミーゼス(Mises)の降伏条件と相当応力のお話です
特にMises相当応力(以下,Mises応力)表現はFEM解析結果で使いまくりなのでとっても重要ですーヽ(`Д´)ノ

  • 金属の降伏実験と良く合う
  • 計量する座標系に依存しない(客観性がある)表現である
  • 一般の応力ベクトルと異なり,位置ベクトルが定まれば直ちにスカラー値として求まる
  • 降伏応力との比較により降伏するか否かの判断が容易である

以下,Misesの降伏条件とMises応力の導出を示します
mises1.wxm
http://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/r/ryooji_f/20111110/20111110214821.png
Ts : 応力テンソル
Tm : 偏差応力テンソル(deviatoric stress tensor)
J2 : 2次の主不変量
いま%o2式に示すような応力テンソルについて考えます
対称テンソルになってますが,そういうものだと思って下さい
(あらゆる応力テンソル表現が対称であるという訳ではありません)
Tsの垂直応力成分から垂直応力の平均を差し引いたものを偏差応力テンソルTmとし,%o3式に示します
Tmの特性方程式を計算したものが%o4式,これより2次の主不変量は%o5式となります



f : Misesの降伏条件
σY : 降伏応力
σm : Mises応力
J2は応力成分の2次のorderですが,これがせん断限界相当分に達すると降伏すると主張するのがMisesの降伏条件です(%o6)
(応力成分の6変数と降伏応力の1定数で表されます)
これより,相当応力として%o7式が求まります



せん断応力成分を0とするとTs, f, σmはそれぞれ%o9〜11式となります



垂直応力成分T11とせん断応力成分T12以外を0とするとTs, f, σmはそれぞれ%o13〜15式となります



垂直応力成分T11以外すべて0とするとTs, f, σmはそれぞれ%o17〜19式となります
Mises応力はT11と等しく,T11がσYに達した時点で降伏することになります
当たり前ですが単軸引張試験の結果と整合します


追記
Richard von Misesは著名な科学・工学者ですが,御兄さんのLudwig von Misesはこれまた著名な経済学者です
すごい兄弟ですねヽ( ´ー`)ノ