Trescaの降伏条件 その2

前回に引き続き,限定された応力状態におけるTrescaの降伏条件について考えます
tresca2.wxm

(%i1)固有値問題を解く関数を使用するための宣言です(画面出力は省略)
(%i2)陰関数のプロットのためにパッケージ"implicit_plot"をロードします(画面出力は省略)
Ts : 応力テンソル(%o5)


http://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/r/ryooji_f/20130914/20130914214048.png
T33とせん断応力成分がすべて0の場合の,Tsと主応力をそれぞれ%o6, %o7式に示します
降伏条件は2変数の方程式となります
横軸縦軸共にσYで無次元化したものを青線で,比較のためMisesの降伏条件を赤線で合わせて%t9にプロットします

  • T11,T22単独で加力した場合,どちらもσYで降伏します,当たり前ですが('A`)
  • T11 = T22軸にそって加力した場合,T11 = T22 = σYで降伏します
  • T11 = -T22軸にそって加力した場合,T11 = -T22 = 1/2*σYで降伏します


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同様に,垂直応力2成分とせん断応力2成分が0の場合のTsと主応力をそれぞれ%o10, %o11式に示します

  • T11,T12単独で加力した場合,それぞれσY,1/2*σYで降伏します
  • T11 = T12軸にそって加力した場合,T11 = T22 = 1/√5*σYで降伏します
  • T11 = -T12軸にそって加力した場合も,T11 = -T22 = 1/√5*σYで降伏します


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同様に,垂直応力3成分とせん断応力1成分が0の場合のTsと主応力をそれぞれ%o14, %o15式に示します

  • T12,T23単独で加力した場合,どちらも1/2*σYで降伏します
  • T12 = T23軸にそって加力した場合,T12 = T23 = 1/2^(3/2)*σYで降伏します
  • T12 = -T23軸にそって加力した場合も,T12 = -T23 = 1/2^(3/2)*σYで降伏します


Trescaの降伏条件も,Misesの降伏条件と同様に金属等の延性材料の降伏判定に使われます
Misesの降伏条件と比較するとMisesがTrescaを内包しており,Trescaの降伏条件がより安全側の指標となることが解ります


追記
implicit_plotの凡例表示にプロットオプションのlegendが使えないため,gnuplot_curve_titlesで代替しています(´・ω・`)