公称歪と真歪

歪ベクトルの垂直成分についてのお話です
所謂,公称歪(nominal strain)と真歪(true strain)です
いま,軸方向に引張られる棒を考えます
いつも棒のことばっかり考えてるんですね,いやらしいです
true strain.wxm

ε : 公称歪
εt : 真歪
L : 変形前の棒の長さ
u : 軸方向の伸び

公称歪と真歪を返す関数をそれぞれ定義します(%o1,2)
Lを単位長さとした時,横軸に伸び,縦軸に公称歪と真歪をそれぞれプロットします(%t5)
伸びが大きくなるにつれて公称歪と真歪の差が大きくなるのが解ります


今,棒が状態0→状態1→状態2という経路を経て変形すると考えます
0→1でu1だけ伸ばされ,1→2でu2だけ伸ばされることとします



ε01 : 状態0→1の変形で生じる公称歪
ε12 : 状態1→2の変形で生じる公称歪
ε02 : 状態0→2の変形で生じる公称歪
%o9式にて,公称歪ε01+ε12とε02の残差を計算した結果,有意な残差が生じていることが解ります



εt01 : 状態0→1の変形で生じる真歪
εt12 : 状態1→2の変形で生じる真歪
εt02 : 状態0→2の変形で生じる真歪
%o13式から,真歪εt01+εt12とεt02の残差は0となります


したがって,歪の表現としては真歪が望ましいのですが
Lに対してuが十分小さい場合に限れば%o9式はほぼ0と見なせるため,取扱いの簡便な公称歪が一般に用いられます


追記

l : 変形後の棒の長さ
真歪の定義を%o14式に示します
L-l, L, l の正負を確認してきますので,すべてp(正値)を返します
計算結果を%o15式に示します(logはlnの意)